歌人 渡辺 源舞 勢力的に詠んでいます。会員同士で批評をお願いします。  
         名前歌以外は添削は有りません。詠んだ歌をそのまま掲載しています。  
 
  リハビリロード   
遅れ来の ケヤキポプラも 華やぎて リハビリ道に 朝陽射したる  
嵐吹く 風に耐えるか 細い橋 川の北風 明日の雪呼ぶ  
土手の道 風に踊りぬ 影法師 美女のゆく先 細い橋なる  
錦繍(きんしゅう)の ゴブラン深く 踏みしめて 行き交うひとの 息の白さよ  
朝冷えの オランダ坂に 赤い月 我待つ人の 白い息みゆ  
初冬明け オリオン北斗 光無く 川面に映る 美女の揺れゆく  
満月の 残る初冬は 北斗なく 冷えた川面に 美女の揺れゆく  
柿落ちて 銀杏落ちて 冬来る 誰がつけたか オランダ坂に  
小雨降る 橋の袂の 自由人 風邪は引かぬか 元気でいるか  
小雨降る 橋に住まうか 根無し草 病むと危うき 橋を渡りぬ  
小雨降る 橋に宿るか 根無し草 病みて危うを 難で漂う  
雨に濡れ 霧に揺れるは 街路灯 青く燈すや 人影もなく  
風ぬける 山科川に 日は落ちて 隼やすむ ビル寒々と  
琵琶湖から 山越えてきた サギコガモ 風のなき日に 陽だまりに見ゆ  
何処までも 何処どこまでも どこまでも 終わりなき道 リハビリロード  
何処までも 何処どこまでも どこまでも 我に課したる リハビリロード  
木枯らしの 蔦の絡まる 枯れ木立ち 一人ぼっちの 烏瓜揺れ  
頑固さに 倍の我がまま 抱えつつ 諍いもなく 夫婦寄り添う  
寒天の 星座を乱す 流れ星 君の行く先 幸多かれや  
寒天に 空の流れも 忙しく 赤き流星 南方に落つ  
大烏 鳶の真似や グライダー 煙突の上 強き風吹き  
母の弾く セレナーデの音 懐かしく 誰が弾くやら 涙して聴く  
ひるがおの 花の咲きたる 干潟には ハゼ貝ゴカイ 川鳥多し  
ひたひたと 潮の満ちしや 干潟消え 鳥さえ見えず 夕闇迫る  
枯れ葉踏む 足音近し 冬の朝 定番の人 犬連れてくる  
小春日に 弘法さんが 座ってる 嬉きあまり 涙溢れし  
道照らす 月の明かりや 川の道 パトカー走り 不安増したり  
木枯らしに 大根葉ゆれ 虎鳴笛 冬きたるらし リハビリロード  
顔見せず いつもの時刻 エマニエル 風の便りや 伏しているらし  
 
  回 想  
若き日の 山の思いも 懐かしく ダイナマイトで 山開く日々  
サルビアの 赤く咲きたる 我がおもい 激しきがゆえ 散るも哀しき   
サルビアの 咲く城の恋 ひと燃えて 悲劇の果ての 散るも哀しく  
狂おしく 白いうなじに 花流れ 朝霧の中 美女の消え行く  
ステージは リズム激しく 赤い帆の 新人の星 今日誕生す  
石だたみ 歴史を刻む おんなざか 美女たち登る 顔をふせつつ   
見つめ合う 指と指とが 触れあいて 厳寒の空 星輝きぬ  
田ごの浦 麗峯富嶽 仰ぎ見て 松に吹く風 子守唄なる   
田ごの浦 時化の大波 岸によせ 地鳴りともない 家立ち揺れる  
黒金の 不死身の男 父死すと 信じ難きや あの日の朝は  
燃えたるは 胸の谷間に 赤い薔薇 琉球のひと 恋一筋に  
緋襦袢 大きくひろげ 宙に舞い 綺麗な人の 幸は遠かり  
ほつれ髪 愛の残り火 燃え尽きて 菩薩の指で 髪を巻き上げ  
潮の風 長い黒髪 女学生 象牙の肌に 汗の弾けし  
女学生 長い黒髪 一人旅 砂浜にたつ 冬の影揺れ  
雨強く 天城の山に 散った恋 愛親覚羅 その名は何処に  
粋造り 欄間に堀し 裸形美女 北陸の夜は 今も更けゆく  
イージスの 機密守りぬ いのち掛け 敷島大和 守る防人  
 
  風 刺  
防人の 守りは堅し 日本海 神風とどけ テポドンのドン  
国の核 無能力化に すべのあり 我体内の 核にすべなし
 
ミライズと 洋行の謎 暗闘で 色分けの界 政怪見えぬ 
 
百合子さん 一寸のスキ チョイと逃げ 政界の美女 正解にゆき   
阿部晋三 再チャレンジに サプライズ 次なるチャンス 虎の目と化し  
ガソリン代 下がるかどうか 鬩ぎ合い 暫定課税 据え置きにおき  
大蔵は あとたち進む 心意気 武者チルドレン 後れてならぬ  
ゆかりさん 美貌に勝る 弁舌に 自信ありしや 勝負の笑顔  
特会を 何とかしたい 議員あり 勝りしものの 二本立てなり  
江畑立つ 刺客に刺客 風吹きて 母は強しか 子を持つ候補  
数多いる 浮浪者の暮れ 餅代は 一律救済 する人もなし  
三つ巴 誰に決めしか 出陣に 次なる知事に 建て直せしや  
 
  元気に働いた時代  
吹く風は 艦砲のおと はこびくる 若狭見下ろす 椿坂峠  
赤土の 荒野に建ちぬ 飯場には まむし串刺し 軒に並ばる  
口紅(くち)にさす 赤いルージュが 懐かしい ホッケの煙 部屋に満ちたり  
まかないの 紅いルージュが 懐かしい ホッケの匂い 部屋に満ちたり
 
豊年や 秋の実りの 終わる頃 朝来の在所 市が立ちたる  
旛上り 朝風に揺れ 開く市 花火合図か にわか賑わう  
晩秋の 冬まつ但馬 市の日は 旛は上りて 過疎が賑わう  
人と熊 違いありしか 狩人の 熊撃つ銃声(おと)に 我が身縮かみ   
熊を射る 狩の解禁 聞こえしも 撃ってくれるな 我が現場には  
晴嵐の 地に嵐来て 今は無く 同僚散りて 再会を規す  
安上がり ビジネスホテル よく揺れて 直下形には 命掛けたり  
九十九織 岬のむこう 雪が降る 春まだ遠い 冬の暮らしよ  
 
  青年の日  
デラシネの 社に住まう ルンプロは 昔トップで 今二等兵  
デラシネの 社仮宿(かりね)の ルンプロは 昔一流 いま四流下々  
夜霧ふる ロンドンブリッジ ただ哀し ネックレス撥ね 橋に恋散る
 
遠浅の 戦闘の無き 砂浜に 蒲の穂ゆれて トーチカ残る  
吹き荒さぶ 風に砕ける 白い波 若き日の夢 朽ちて錆びたる  
吹き荒さぶ 風に砕ける 白い波 岬の上の 観音参り  
いにしえの 富士の山より 落ちるらし 大澤崩れ 永久には落ちむ  
熱弁の 緑の背広 思い出す 嵐の季節 いま何処に消ゆ  
暁の しじま破りし 貨車の列 戦車野砲の 運ばれし見ゆ  
寒風に 干しイカゆれて 冬来る いにしえの郷 富士の裾野や  
ロッキード 空に輝き 落とす荷の ジープトラック 壊れし戦車  
赤い爪 赤い口紅 モダン娘 故郷に帰すも 癒すも無しに  
大ソテツ 激戦の跡 痛ましく 航空隊や 歴史に記する  
赤い橋 渡り廊下に ボンボリの 池に映りぬ 淡い丸山  
丸山の 影さえ淡き 赤い橋 恥じらい浮べ 京の美女ゆく  
寒風は 海軍橋に 吹き上がり 鯔釣りをする 父勇ましき   
厳しい目 褐色の肌 隻腕の 船乗り一人 南進したる  
風受けて 白帆が進む 水平線 ただ群青の 海の続くや  
亜麻色の 髪の乙女が 海見つめ 思い届けよ 船乗り一人  
海見つめ 思い届けよ 白い帆に 祈り込めたる 浜辺の乙女   
 
  生 活  
抜けし歯は 云われて哀し 治療費の 余裕なき身に 返す言なし  
寂しさと 病にお金 三重苦 渡る世間よ 知るか知らずや   
我が家には 三万円も 有ると云う 此れは裕福 きっと裕福  
我が家には 五万の金も 無いと云う 此れは悲惨 きっと悲惨  
宝くじ 運無き年の 勝ち機運 紅の櫛さす 美女に出会いし
 
足重く 体に知らす 報あたり 落ち葉しぐれや 小雨降りたる  
心身は 頑健なりぬ 我が友は 車椅子から 笑顔こぼれし  
心身は 頑健な人 回復の 車椅子から 笑顔こぼれし  
待ちかねた 郷の便りに 涙して 母の香りの 温もりを抱く  
覚えてて 優しい眼差し 思い出す 憧れの人 転勤を聞く  
音頭とり うまい男が 旅立ちぬ 氷雪まじか 逝くは遥かに     
プール際 持たせぬものを 持つが故 佐世保の朝に 辛き雨降る  
褐色の 美女トラックに 颯爽と 四肢伸びやかに 大地を蹴りぬ  
空っ風 プラタナスの葉 からからと 環状線に 逃げ転げゆき     
見事なる 浦和の三位 トウヘッド 歴史を刻み  ワシントン去り   
ノンヘルは 三人乗りの 交規持ち 若きが故の 暴走なりぬ  
暴走の 轟音我に 聞こえ来る 環状に吹く 金欠の風  
 
  夢と遊び  
宝くじ 三枚なれど 買ってみる 余裕無き身の 夢の贅沢  
バラ五枚 夢も膨らむ 年末は 宝の船に 乗れるやにかも  
から手形 金額満たず 前後不可 運なき年の 男の勝負  
赤く咲く 山茶花の花 髪に挿し 病隠して 強気の笑顔  
赤く咲く 山茶花の花 髪に挿し 歩きゆく人 美し哀し  
落ち葉焚 ポテト入れば  三星の バター付けしは フルコース成り   
恋時雨 枯れ木に花の 咲きしかや クリスマスの日 リハビリロード
 
 
平成19年12月末現在